チョイ裏話!(12~15巻)

無料キャンペーン中にXでつぶやいていた、チョイ裏話を公開してるよ!
ネタバレも混じってるので注意!


12巻『あやつられた地獄中学校』のチョイ裏話!
 
大翔たちもいよいよ中学生! 章吾も戻り、鬼とは無縁の平和な生活を楽しんでいたけれど…? ということで、第二部開始巻です!
 
第二部をどうしようか迷っていた所、編集長から「大翔たちに、より大きな目的を持たせてはどうか」と提案が。
「よっしゃ! じゃあ第二部20巻まで、第三部25巻まで!」と、大風呂敷を広げてはじめることになりました。
実際には第二部と第三部は混ざりましたが、おおむね想定どおりに進行していますね。
 
そんなわけで第二部は、物語の作り方も変えています!
第一部では、書いている巻と、せいぜいその次の巻のことしか考えずに書いていたのだけど、 第二部では、第三部の遠いゴールへ向けて、物語全体がゆっくりと進んでいくように、でも各巻でも山場が出るように構成しています!
 
10冊以上、5年もかけて描く物語は、読者が入れ替わっていく児童文庫向けではないのですが……第一部とはちがったことをやりたかったので!
なので第二部は、物語開始時点ですでに水面下でいろいろなものが動きだしており、巻を追うごとに皮を剥くように、それらが見えてくる作りになっています。
 
ということで、第12弾では、新キャラがたくさん登場するよ!
全員、背景を持っていますが……一番先にそれがわかるのは、我妻総一朗だ!
総一朗は、はじめは、「大翔たちの先輩になる、鬼祓いのプロみたいなキャラがほしいな」と思って登場させました。
 
ただ、「第一部で大翔たちが成長したから、読者と等身大で鬼を怖がってくれるキャラもほしいな…」とも思い。よし! 合体させちゃえ! ということで、「鬼祓いの家の末裔で、先輩みたいに振る舞うんだけど、実際は鬼を見たことがなく、ビビリでメンタル弱い男の子」になりました。総一朗ごめん…!
 
第二部では、大翔に、家族や友達だけでなく、その外側にあるいろんなものに目を向けて成長してほしいな…と思っていました。そうでないと、第三部の展開を支えきれないので。 (最新刊をお読みの方は、第三部としてどういうものを想定していたかわかるでしょう…)
 
総一朗は、力はないけれども、大翔にはない道義心と責任感を持っている。その広い視野で、大翔を成長させてくれるんじゃないかな…と、期待して登場させたのでした。
実際どうだったのかは…どうなんだろうな…。まぁおまえは頑張ってるよ、総一朗(何)
 
ちなみに、光哉が好きという読者の声はよく聞くけれど、総一朗は一切聞きません…! 同時期に登場したのに…!
大人の女性にばかり好かれている印象があります…。うん、縁の下の力持ちの良さは、小学生には早いよね…。でも結婚すると一番幸せにしてくれるのは、たぶん総一朗だよ…。小学生…。
 

13巻『とらわれの地獄村』のチョイ裏話!

 
あたらしい友達たくさんできたけど、まだまだ固いな! みんなで遊びにいっといで!
そんな巻になります! もちろん襲われます!🧟‍♂️
 
‍そんなわけでこの巻では、旅行に出た大翔たちが、奇妙な「村」に迷いこんでしまいます。
当初イメージは「犬鳴村」などの村ホラージャンル! 閉鎖的でじめっとした空気の村のなか、いわく恐ろしい因習があったり、カルト集団が跋扈してたり…恐ろしい事態に巻きこまれる! みたいなイメージでした。
 
実際に書いてみると登場したのは…
「ラジオ体操を日課にしている健康志向のミイラ男、木乃伊さん!」
「目玉がすぐに転がっていってしまう、腐った死体の不死原さん!」
「熱狂的“死”信奉者のガシャドクロ、鹿羽根村長!」
どうしてこうなった! 針とらにJホラーの湿った空気は無理だったんや!
 
彼ら、自分たちをモデルにした土産ものまで作って村興ししてるんですよね…。死んでるのに陽気すぎやろ…。ホラーて…ホラーて言うてるのに…。
 
さて、中学校編から登場したキャラのうち、12弾では総一朗に、13弾では「結城光哉」にフィーチャーしています!
光哉は第二部のキーキャラクターで、裏の主人公ともいうべきキャラ。
コンセプトは、「もうひとりの大翔」。
その意味は語りませんが、最新22巻『かなしき鬼との約束』でようやくそこへたどり着けました…。
 
光哉は描くのがむずかしくて、めちゃめちゃ苦労しています。特に第二部はじめのころは、仲間にウソをついたり煙に巻くところが多く、光哉の主観の世界と、大翔や読者から見た世界を複眼にして書くのが、とても大変だった記憶。
 
13弾でも、光哉は「自分も小学校で鬼ごっこに巻きこまれた」というヒミツを明かしてくれますが、これは信頼を得るために用意していたスケープゴートとしてのヒミツで、心を許して言っているわけではありません。 大翔はそのへんすぐに気を許しちゃうんで、光哉は逆に戸惑ってしまっています。
 
…といった諸々が大翔目線だと見えにくいので、読者から光哉のキャラがどう見えているのか、かなり不安に思いながら書いていました。 仲間にウソをつかなくなったあとも、自分にもウソをついていて、なかなか核の部分を見せない…。
最新刊でようやく、ちゃんと話してくれたかな…という感じですね。
 

14巻『開かれし鬼の門』のチョイ裏話!

今巻は、大翔たち子供チームと、紫鬼たち鬼チームの、結界石争奪戦が開幕する巻になります!

第一部では意図的に、「鬼はどこからやってくるのか、その意図は?」といった点には触れませんでした。
元々の着想が、「児童書でデスゲームやってみよう!」だったからですね。(当時はなかったんだってば!)
ゲームが大事なのであって、主催者の意図や正体はまぁいいじゃん、というスタイルです。

第一部でそれはやりきったと思ったので、第二部では、主催者(鬼?)の正体を明かした上で、「地上と地獄をつなげる通り道を、再封印できるか? / 邪魔できるか?」、子供たちと鬼たちで競争する物語に舵を切りました。

そんなわけで14弾では、大翔たちの大先輩として、キーチという男の子が登場します。彼も小学校で鬼ごっこに巻きこまれていますが、1巻での大翔たちとはちがった運命をたどっていたようです。キーチに使命を託されることで、大翔たちは動きはじめます。

そこにあらわれるのが、鬼たちの総大将・紫鬼。12弾、13弾では名前だけだったのが、この巻で満を持して登場します。鬼なのに会社を経営し、いつも忙しそうにしている、スーツとネクタイに身を包んだ、イケメンエリートビジネスマン。みもりさんの描く紫鬼はダンディです…。

ちなみに第二部開始当初の紫鬼の姿のイメージは、「メガネをかけたオオトカゲ」でした。さすがに会社を経営するなら人間形態になってもらわにゃ…ということで変えていますが、部下の腕輪の模様がトカゲだったり、鬼化後に爬虫類っぽいのはその名残です。

紫鬼のコンセプトは、「人間の大人みたいな鬼」。黒鬼のように悪戯心などはなく、計画的に粛々と行動する鬼です。おかげで大翔たちからなかなか敵の手のうちが見えず、作者としては困りましたが……巻が進むうちにだんだんと、彼の恐ろしい計画も浮かびあがってくるのでお楽しみに!

ちなみに紫鬼は、人間に鬼の存在がバレないようかなり注意して行動しており、大翔たちと会うのに道路封鎖したり、事後は警察への通報まで確認しています。警察への通報の確認? どうしてそんなことができるかは…18巻『信じてはいけない地獄警察』をお読み下さい!

また、紫鬼の経営するホールディングスの傘下には、都市計画にたずさわる企業が多く、
「子供のための住みよい街づくり計画」
「桜ヶ島タワー(電波塔)の建設」
「街のゆるキャラ『ぱくぱく様』の企画考案・グッズ販売」
「育児に悩む親たちを支援する組織『紫の会』への出資」
など、桜ヶ島市と組んでいろいろな事業をやっています…!
このころの紫鬼はそのために、分刻みのスケジュールで大忙し!
そうした地道な努力がどう実を結ぶかは、20巻『街をむしばむ地獄計画』、21巻『街をとりもどす地獄革命』をお読みいただければ…!

まぁ、紫鬼がやらんとしてるのは、ようは理想のための「国盗り」で、そのために、「進軍ルートの確保(鬼門の解放)」 「前線領土(街)の確保」 「必要な食糧(子供)の調達と管理」 を一気通貫でしようとして行動しているのですね。 桜ヶ島を確保した上で、霞ヶ関に侵攻しようとしています。

そのへんは、「子供の冒険を描く」という児童書の範囲から外れないよう、大翔や光哉たちの目線からはわからず、断片のみ見えるようになっています。ちなみに紫鬼は孫子の「兵法」で戦略の考え方を学んでいるのですが、20巻で章吾たちが発見した紫鬼の本棚を見てみると…? 本棚には人物が出ます!

そんな有能な紫鬼なのですが、ゆいいつ苦手なのが、「ネクタイを結ぶこと」! なぜ人間はこんなものを着けるのか、ぶつぶつ文句を言っています。しかし最新22巻では、ついにネクタイの便利さに気づいたらしい! いったいどんな使い方!? 『かなしき鬼との約束』にてぜひ!


15巻『うらぎりの地獄美術館』のチョイ裏話!

『知力、忍耐力、運、運動能力』を試すそれぞれのゲームで、子供チームと鬼チームが、選手を出しあって勝負するお話です!

この巻は、人喰い鬼との追いかけっこというより、まさしくゲームの巻になります。部屋ごとにテーマが設定されており、ゲームのルールが説明されて、選手を出して勝負して、勝てば次の部屋へ進むことができる。最後の部屋までたどり着けばゴール! 幽遊白書の四次元屋敷の影響を受けていますね。

この巻の鬼としてだれを派遣するか、紫鬼は結構悩みました。部下のXと組ませた鬼たちの、モチベーションの低さに悩んでいたのです。愚鬼は勝手に人間食べようとしてるし、不死者は自分たちのやりたいことやってるし、狼頭鬼も命令された仕事をただこなしている、といった様子で。 鬼の…下請け化…!

これは紫鬼が忙しすぎて現場をXに任せきりにしていることや、Xが人間なので鬼たちに舐められていたり、紫鬼に優遇されていることへの反発があったりと……いろいろ複雑な事情があったりします。 組織運営というのは大変なのね…😓 紫鬼もちょくちょく愚痴っていたりします…。

そこで事態を打開するべく、紫鬼は青鬼から人材をスカウトしました! そうしてやってきたのが今巻の敵キャラ……『青髭男爵』だ! 色の名前を冠されているのは、色鬼に認められた一流の人材の証だぞ!
「一流の鬼とは、あつかいづらさもまた、一流なのでございます」
あ、こいつもダメそうだ!

そんなわけで青髭男爵は、登場早々、「命令なんてどうでもよろしい」と言い放ち、自分の趣味である『子供との命を賭けたゲーム』を開始したのでした。…かわいそうな紫鬼! でも、自分の楽しみを優先しつつも、最終的にはきちんと仕事もこなしているあたりは、結構オトナな鬼ですね(?)

青髭男爵は、ゲーム狂。黒鬼のように相手が追い詰められるのが好きなのではなく、ゲームというものそれ自体へ偏執的な興味を抱いている「行き過ぎた求道者」です。ゲームがより高みに昇華されるためなら、自分の命も含めたすべてのものを小道具にします。

こうした行き過ぎた求道者には、生まれつきではなく、人間から鬼になったタイプが多く、9巻の『叉鬼』もそうだったりします。 彼は狩りの理想を追い求め、他人の命すらそのための背景と見なすようになって、鬼となりました。くわしくは『ねらわれた地獄狩り』にて!

ちなみに青髭男爵はこの巻だけでなく、渋谷スクランブル交差点のオーロラビジョンを乗っ取って、都内全域を使ったゲーム勝負もしかけてきます。 渋谷、原宿、秋葉原、そして東京タワーを使ったゲーム勝負については、19巻『招かれざる地獄ハロウィン』をお楽しみください!

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